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注目の一冊

英語科学論文をどう書くか:新しいスタンダード

保田幸子 著(ひつじ書房、2021年刊)



 英語による科学論文執筆のガイドブックであるが、副題として「新しいスタンダード」と掲げているように、「書き手の個性や主体性を読み手に伝える」という新しい視点に立っている。「論文では客観的事実のみを書く」や「一人称の使用や曖昧な表現は避ける」などが標準とされてきたが、近年では書き手の個性や主体性を明示的に示すことが推奨されていることを国際誌の投稿ガイドラインや掲載された論文の計量的分析によって示している。準備編では、科学論文から主観性が排除されてきた歴史的背景、主観表現の方法を数多くの事例をもとに解説している。基本編では、科学論文のストーリー・テリングという観点から論文の流れを作る「Move」という概念を導入し、情報展開の流れについて解説する。発展篇では、さらに「書き手の個性や主体性を読み手に伝える」文章表現法を具体的な豊富な事例を用いで丁寧に解説している。定型表現の用例も非常に多く、英語論文を執筆するときに参考になり有益
ISBN978–4–8234−1080−2



【解説】

本セレクションは、各出版社から推薦されたものを年度末に選定委員会が審査して決定しています。著者ないしは編集者・出版組織が会員であることが条件。本年度分として選定された8件について、応募順に本欄で紹介しています。