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注目の一冊

シリーズ大学の教授法5 研究指導

近田政博編著(玉川大学出版部、2018年刊)

2019年度大学教育学会「JACUEセレクション」選定図書:日本の大学における学士課程教育の強みの一つは卒業研究にあると言われている。キャップストーンとして卒業論文・研究・制作を課し、そこに教員の時間やエフォート等を含む相当量のリソースを投入して最終的な教育の質保証につなげている。しかし、研究指導の実践は個々の教員の経験に委ねられていることが多く、また分野による違いが大きいため、方法論の整理・体系化が十分ではなかった。他方で、近年は学生の多様化が進んでいることに加え、教員の多忙化によってこれまでは暗黙裡に実現されていた質保証の効果が低減しかねない事態が生じている。本書は、研究指導に資する教育学、学習科学、心理学、経営学(マネジメント)等からの知見を場面・目的に分けて簡便な形で提示している。分野の違いが克服されているとは必ずしも言えないが、本書が現場を担う多くの大学教員に活用されることの意義は大きい。(選定の際の「講評」に加筆)【ISBN 978-4-472-40535-8】


【解説】
本セレクションは、各出版社から推薦されたものを年度末に選定委員会が審査して決定しています。著者ないしは編集者・出版組織が会員であることが条件。本年度分として選定された5件について、応募順に本欄で紹介しています。