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課題研究募集案内

2023年3月1日

2023年度課題研究再募集のお知らせ


課題研究委員会


 「大学教育学会課題研究委員会規程」(以下、「規程」)及び「課題研究の選定及び評価に関する内規」(以下、「内規」)に基づき、2023年度の課題研究を下記の要領で再募集します。



1.課題研究について

 本学会は、1979年12月の「一般教育学会」としての発足直後から、「高等学校学習指導要領にかかわる大学教育の問題」(代表者:扇谷尚、1980-1984)を皮切りに、絶えることなく課題研究を行ってきました。周知のように、「『FD(ファカルティ・ディベロップメント:教授団の能力開発)』、『大学の自己評価』、『学士課程教育』などの課題研究は、学会の研究活動の中軸となり、旗印」ともなりました(学会概要「趣旨と目的」より)。学会の歴史は課題研究の歴史ともいえます。

 内規では、こうした課題研究を「学会として大学教育の研究と実践に係る重要な課題を明確にし、組織的に取り組むことで、学会活動と大学教育全体の発展に貢献するための戦略的なもの」と定義しています。

 現在、進行中の課題研究は以下の4件です。
①「大学教育における質的研究の可能性」(代表者:山田嘉徳、2020-2022年度)
②「コロナ禍がもたらす大学教育の可能性ー対象・方法・内容ー」(代表者:塚原修一、2021-2023年度)
③「大学教育・経営人材の育成とプログラム開発に関する研究」(代表者:福留東土、2021-2023年度)
④「SDGsの観点から考える大学の現状と持続可能な共生に向けて:男女共同参画・教職協働・雇用形態の3つの視点から」(代表者:吉永契一郎、2022-2024年度)

 2023年度は、終了する①に代わる新たな課題研究を1件加える予定です。この新規課題研究(1件)を再募集します。


2.新規課題研究について

(1)課題研究テーマ(委員会提案)

 新規課題研究については、当委員会及び理事会で検討し、下記のような7テーマを望ましいテーマとして提案します。


①「正課・準正課における経験学習型教育実践の現状と課題」

現在、正課教育(Problem-BL、Project-BLなど)でも準正課活動(サービスラーニング、海外研修など)でも、経験学習型教育実践が、学生の学びと成長にインパクトを与えるものとして注目されている。その現状と課題を明らかにする。


②「大学における市民性教育(民主主義教育)」

大学生は全員選挙権を持つようになり、民主主義社会を支える市民を育成することは高等教育においてより重要な使命となっている。学士課程答申においても「自由で民主的な社会を支え、その改善に積極的に関与する市民」として21世紀型市民を定義しているが、自由で民主的な社会についての知識とその維持・発展にどう関与するかについての教育は大学ではほとんど実践されていないのが現状である。このため、大学における市民性教育のあり方と実践についての研究が求められる。


③「大学認証評価制度の効果に関する再検証」

認証評価は2004年に始まり、現在は第3期の終盤に入っている。しかし、その指標は細分化する一方で、どこの大学も、相当なペーパーワークに苛まれている。認証評価は果たして教育を改善するための評価になっているか。認証評価のあり方や効果が再検証されるべき時期に来ているのではないか。


④「IR活動を教学マネジメントに有効活用するための方法と課題」

IR担当は任期付き若手研究者の専門職ポストになりつつあるが、その職務はデータ収集、分析、加工、報告に限られる。そのデータを活用して大学の教学マネジメントに関して責任を負うのは理事や副学長である。しかし、そうした大学の経営陣とIR担当者の間に十分な連携がなされているであろうか。現状ではまだまだ不十分だと思われる。IRの分析結果を大学の教学マネジメントに有効活用するためには何が必要なのか。

⑤「文理横断型の教養教育(新たな時代に求められる教養教育)」

初等・中等教育の改革、ICTの普及、社会構造の変化などを背景として、大学の教養教育は今問い直しが迫られている。組織の枠を越えた幅広い分野からなる文理横断的なカリキュラムなど新たな時代に求められる教養教育について探究する。

⑥「大学におけるアカデミック・インテグリティ」

オンライン授業の進展に伴う不正行為の急増などを背景として、高等教育の品位や学位の価値が世界で問われている。アカデミック・インテグリティに関する問題の範囲を検証し、大学における学びの正当性をめぐる課題への対応や実践的な指針について探究する。

⑦「教育DXおよびデータサイエンス・AI教育の現状と課題」

COVID-19パンデミックを機に、大学の学習・教育におけるデジタル活用が加速している。教育DXとともに、データサイエンス・AIに関するプログラムの開発・強化に取り組む大学が増加している中、その現状と課題を検討する。


(2)課題研究テーマ(その他)

 ただし、上記のテーマにこだわらず、テーマの学術的・実践的重要性・妥当性、研究計画・方法の新規性・妥当性、研究成果の波及性・応用性などを有したテーマ・計画は奮って応募してください。先行事例がなく萌芽的な課題も受け付けます。
これまでの学会大会におけるラウンドテーブルを企画された方々をはじめとして、学会員の皆様の積極的な応募を期待します。


3.申請手続きと審査について

(1)申請手続き

 応募される場合は、内規(「課題研究の選定及び評価に関する内規」)をよく読んだ上で、当ウェブサイト内の「2023年度課題研究申請書」(再公募用)に記入の上、2023年3月31日(金)までに、事務局(office@jacue.org)へ、メール添付にてご提出ください。

 課題研究の申請を行うことができるのは正会員に限ります。ただし、研究組織(課題研究グループとコメンティター)には、必要に応じて会員及び会員以外の専門家を研究協力者として加えることができます。

 研究期間は、通常3年間と定められていますので、今回の応募では、2023年4月1日からの3年間となります。

 補助金は、課題研究一件ごとに通常、各年度40万円です。科研費等の他の財源と組み合わせることは可能です。

 課題研究の実施にあたっては、一般社団法人大学教育学会研究倫理基準を遵守することが求められます。


(2)募集期間

2023年3月1日(水)~3月31日(金)


(3)審査

 テーマが委員会提案にそったものかそうでないかに関わらず、当委員会及び理事会で厳正な審査を行い、1件を採択します。なお、複数の会員(グループ)から類似性の高いテーマでの応募があった場合には、当委員会で検討し、必要と判断すれば、調整して一本化を図る可能性もあります。

 申請された研究計画は、内規に示されている「課題研究(候補)の選定基準」に基づき、当委員会が総合評定を行った上で(複数推薦する場合は順位をつけ)、選定候補として理事会に推薦します。2023年5月の理事会において審議され、承認され次第課題研究が開始される予定です。



「2023年度課題研究申請書」(再公募用)(※「記入上の注意」も必ずお読みください。)