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一般社団法人大学教育学会 研究倫理基準

一般社団法人大学教育学会 研究倫理基準

 

(目的)

第1条 大学教育学会(以下「本学会」という。)の定める「倫理綱領」に基づき、本学会員が研究を遂行する上で遵守すべき事項を研究倫理基準(以下「本基準」という。)としてここに定める。

2 本学会員は、本学会に属さない共同研究者についても、本基準の遵守を確認するものとする。

 

(定義)

第2条 「研究」とは、研究計画の立案、計画の実施、成果の発表・評価に至るすべての過程における行為、決定及びそれに付随するすべての事項を含むものとする。

2 「本学会員」とは、正会員、学生会員のほか団体会員に属する者をいう。

 

(研究の基本)

第3条 本学会員は、研究活動が社会からの信頼を基盤として行われるものであることを自覚して、良心と信念に従って自己の責任で研究を遂行し、研究の自由の実現に努めなければならない。

2 本学会員は、個人の尊厳を重んじ、基本的人権を尊重しなければならない。研究にあたって社会の多様性を尊重しなければならず、性別、出自等を理由として差別的な取り扱いをしてはならない。

3 本学会員は、国際的に認められた規範、規約及び条約等、国内の法令・告示等並びに本学会の諸規程を遵守しなければならない。

4 本学会員は、研究費を適正に使用するとともに、研究成果を上げるよう努めなければならない。

 

(研究者としての姿勢)

第4条 本学会員は、学問的誠実性を追求しなければならない。

2 本学会員は、専門的能力の維持・向上に努めなければならない。

3 本学会員は、大学教育に要請される総合的視野をふまえて自覚的に自己の研究を管理遂行し、他分野の専門研究を尊重するとともに、国、地域、組織等における、文化、慣習、規律,法規程の理解に努めなければならない。

4 本学会員は、共同研究者が対等なパートナーであることを理解し、お互いの学問的立場を尊重しなければならない。また研究協力者、研究支援者等に対して十分な配慮をもって接しなければならない。

5 本学会員は、アカデミック・ハラスメント、パワー・ハラスメント、セクシュアル・ハラスメントその他のハラスメントにあたる行為をしてはならない。

 

(研究のための情報・データ等の収集)

第5条 本学会員は、研究のための資料、情報、データ等を、その目的に適う必要な範囲において、科学的かつ一般的に適正な方法、手段を用いて収集しなければならない。

 

(説明と承諾)

第6条 本学会員が、人の行動、環境、心身等に関する個人の情報、データ等の提供を受けて研究を行う場合は、提供者に対してその目的、収集方法、発表方法等をわかりやすく説明し、提供者の明確な同意を得なければならない。

2 本学会員が、組織、団体等に関する非公開の資料、情報、データ等を活用する場合は、その目的、収集方法、発表方法等をわかりやすく説明し、当該組織、団体から明確な同意を得なければならない。

 

(個人情報の保護)

第7条 本学会員は、個人情報保護の重要性に鑑み、研究のために収集、作成した資料、情報、データ等で、個人を特定できるものは、当該者の同意なしにこれを他に洩らしてはならない。

 

(情報・データ等の管理)

第8条 本学会員は、研究のために収集、作成した資料、情報、データ等の関連する研究記録を適切に保管し、紛失、漏洩、改竄等を防ぐよう努めなければならない。また、事後の検証が行えるよう必要な期間保存しなければならない。法令又は規程等に保存期間の定めのある場合はそれに従うものとする。

 

(研究不正行為)

第9条 本学会員は、研究活動において、捏造(存在しないデータ、研究結果等を作成すること)、改竄(データ、研究結果等を真正でないものに加工すること)、盗用(他者のアイデア、データや研究結果等を適正な引用なく流用すること)等の不正な行為をしてはならない。

 

(研究成果の発表)

10条 本学会員は、研究成果を広く社会に還元するため、適切な方法によって研究成果を発表しなければならない。ただし、関係者の権利保護や知的財産権の取得等合理的理由のため公表に制約のある場合は、その合理的期間内において公表しないものとすることができる。

2 本学会員は、研究成果の発表にあたって、適切な引用をすることで先行研究を尊重するとともに、他者の知的財産を侵害してはならない。

3 本学会員は、研究成果の発表にあたって、私的利益への配慮や不当な圧力により研究成果の客観性を歪めることがあってはならない。

4 本学会員は、二重投稿(既に投稿している論文を、その採否が判明する前に他の学会に投稿すること)や二重出版(著者自身によって既に公表されている事実を開示することなく、同一の情報を出版すること)などの不適切な発表を行ってはならない。

 

(オーサーシップ)

11条 本学会員は、研究活動に実質的に関与し、研究内容に責任を有し、研究成果の創造に十分な貢献をしたと認められ、研究のあらゆる側面について説明できる場合に、オーサーシップ(論文の著者として表示されること)を認められる。ギフト・オーサーシップ(著者としての資格がないにもかかわらず、真の著者からオーサーシップを付与されること)やゴースト・オーサーシップ(著者としての資格がありながら著者として表示されないこと)は認めない。

 

(他者の研究評価)

12条 本学会員が、研究計画の審査、論文査読等の委嘱を受けて、他者の研究評価に関わるときは、評価に恣意的な観点を混入することなく、評価基準及び審査要領等に従って適切な評価を行わなければならない。

2 本学会員は、他者の研究評価に関わって知り得た情報を他に漏らしたり、不正に利用したりしてはならない。

 

(大学教育学会の責務)

13条 本学会は、本学会員の研究倫理意識を高揚するために、必要な啓発、倫理教育の計画を策定し、実施するものとする。

2 本学会は、本基準の運用を実効あるものにするため、本学会員の研究倫理に反する行為に対しては、厳正な態度をもって適切な措置を講じるものとする。

3 本学会は、研究に関して、不正行為の通報があった場合、不当又は不公正な扱いを受けた者からの苦情、相談等があった場合、これに誠実に対応しなければならない。

4 本学会は、本基準の目的達成と適切な運用を図り、研究倫理教育を推進するため、大学教育学会研究倫理委員会(以下「委員会」という。)を設置する。

5 委員会に関する事項は別に定める。

 

(改廃)

14条 本基準の改廃は、委員会の議を経て、理事会において決定する。

 

附則

本基準は、2022126日から施行する。