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著作権に関するよくある質問(Q&A)

著作権に関するよくある質問

Q.著作権について教えてください。

 著作権は、作品の財産的な価値の権利である「著作財産権」と「著作者人格権」に分類されます。著作財産権とは、著作物の複製や翻訳などを行う権利で、著作権法第2128条に規定されます。この権利は譲渡・貸与することができます。

一方、著作者人格権は、著作者の名誉や作品への思い入れを守る権利です。この権利は著作者に属していて(同第17条)、譲渡できず(第59条)、著作者の死後も侵害行為が禁止されます(第60条)。この権利の内容は以下のとおりです。

・公表権:著作者が未公表の著作物を公表するかどうかや公表の時期、方法を決める権利(第18条)。

・氏名表示権:著作者が著作物について、著作者の名前を表示するかどうかや、名前を表示する場合に実名を表示するかどうかを決める権利(第19条)。

・同一性保持権:著作物を無断で修正されない権利(第20条)。

・名誉を害する方法での利用を禁止する権利:著作物が著作者の名誉を害するような方法で使用されることを禁止する権利(第11311項)。

以下のQAは著作財産権に関するものです。

<論文執筆にあたって>

Q.著作権を譲渡しなくもよい「特別な事情」とはどのような場合でしょうか?

企業に属する著者等による依頼論文の執筆で、所属企業の事情で著作権を学会に譲渡することが困難である場合などです。その場合は、学会が学会ウェブサイトおよびJ-STAGEで公開できるよう「著作権利用等の承諾書Word)」をお送りください。

Q.引用について教えてください。

著作権法では、著作権者に許諾を得ることなく、公表された著作物を利用することができるいくつかの例外を定めています。引用はその1つですが、次の要件を満たすことが必要です。

・引用して利用できる著作物は、公表されたものでなければならない。

・公正な慣行に合致した引用、たとえば論文において自分の説を正当づけるためなどの必要性がなければならない。

・正当な範囲内の引用でなければならない。正当な範囲とは、次のような場合である。

引用する個所が、かぎかっこなどで明瞭に区別できること

自分の論文が、主であり引用が従であること

・引用元の著作者人格権を侵害しないこと。

・出所の明示をしなければならない。論文の場合であれば引用個所に注をつけ、近いところに著作者名、書名(題名)、雑誌名、ページ等を表示する必要がある。参考文献で参照しても、本文中の引用個所が特定できないときは、適法な引用とはいえない。

Q.他の出版物に掲載された著作物の一部を本文中で引用したいのですが、どのような点に注意すればよいでしょうか?

著作権法で正当な範囲において引用することは認められています。一般に引用するには、

・引用の範囲は必要最小限であり、その範囲が明確に分かるようにすること

・出典を明記すること

などが必要とされています。

Q.他の出版物に掲載されている図表を自分の論文で使いたいのですが、どのような手続きをとればよいでしょうか?

引用の範囲であれば著作権者に許諾を得ることなく、図の脚注に出典を明記するだけで利用できます。具体的には図を12点程度であれば、一般に引用の範囲と見なされるようです。

Q.他の出版物に載っている図(他人のものも含む)に手を加えて自分の論文に入れたいのですが、著作権者の許諾が必要でしょうか?

引用の範囲と見なせる場合は、図の脚注に出典を明記するだけで利用できます。引用の範囲を超える場合は、その図の著作権者の許諾を著者自身で得てください。

<自分の論文等を利用する場合>(著作者から大学教育学会に著作権移転がなされた著作物に関する場合)

Q.大学教育学会に著作権を譲渡した論文等を著者自身が利用する際に届け出が必要な場合と不要な場合があるようですが、その判断基準を教えて下さい。

 

まず、「大学教育学会に著作権を譲渡した論文等を著者自身が利用する」には、大学教育学会誌に掲載された論文を利用して、新規性の求められる学術雑誌等に投稿することは含まれません。この場合は、届け出の有無に関わらず不可です。(下表の「他学会への論文化投稿」にあたります。)それ以外の利用についての判断の原則は次のようになりますが、個々のケースで判断に迷うときは届け出することをお勧めします。

1)著作権規程で著作者の権利として具体的に認めている利用は届け出不要。

a25%以上変更(自己申告)して利用。

b) 新規性が求められない形で論文を翻訳掲載。

c)自由研究発表及びポスターセッションの要旨集原稿等を論文として他学会へ投稿(著作権返還を求めない場合)。

d)個人(あるいは属する組織やグループ)のWebサイトへ掲載(学会誌掲載論文は発行から1年経過後、その他の著作物については経過期間を設けない)。

2)著作権法で認められている範囲の個人利用や教育目的での利用などは届け出不要。

3)所属する組織あるいは研究助成金の提供者などへの義務としての報告での利用は届け出不要。

注:この報告を受けた組織や助成金提供者によるその研究論文の利用に関しても、常識的な範囲であれば特に制約はありませんが、出典などは明記して下さい。

4)掲載誌との差異が25%以下の場合

:可能、申告不要  

〇:可能だが申告必要([著作物利用通知書様式A]が必要) 

:不可

掲載誌 大学教育学会誌 要旨集
発行日前の複製・配布(電子媒体を含む)
発行日後の複製・配布(電子媒体含む)
所属組織内などでの報告とその報告書の常識的範囲での利用
個人または所属組織のWebサイトでの公開 (発行より1年後)
他学会への論文化投稿
単行本等での出版



Q.大学教育学会の媒体に掲載された自分の著作物を複写し、有料または無料の講習会のテキストとして配付することは可能でしょうか?

有料・無料にかかわらず可能です。ただし、著作物利用通知書様式Aにより事前に本会に申し出る必要があります。

Q.要旨集(大会発表要旨集録または課題研究集会要旨集)に掲載されている要旨を見た人から、そのテーマに関係のある他の学会へ論文として投稿することを勧められました。このような投稿についてどんな点に注意する必要がありますか?

著作権規程第5条の3にも明記されていますように、このような場合、まったく修正せずに同一のものを投稿されても、本会としては全く問題ありません。

また、その場合に他学会が著作権譲渡を要求するなら、著作権返還申請書兼利用許諾書様式Bにより著作権返還の申請を行ってください。

Q.大学教育学会の媒体に掲載された自分の著作物を大学の授業の教材として使用したいのですが、複写して配付してかまいませんか?

教育目的の利用であれば、著作権法第35条の「学校その他の教育機関における複製」にあたりますので許諾なく複製することができます。

Q.大学教育学会の媒体に掲載された自分の著作物を翻訳して出版したいのですが、可能でしょうか?

著作権規程第5条の2により、可能です。ただし、新規性を採録の要件とする出版物(単行本、雑誌等)への収録を行う場合は、著作物利用通知書様式Aにより事前に本会に申し出る必要があります。

Q.大学教育学会の媒体に掲載された自分の論文を翻訳して他学会の国際会議に投稿したいのですが、可能でしょうか?

要旨等、研究の途中成果とみなされるものは、第5条の3により学会に申し出ることなく利用できます。論文等の最終成果物については第5条の2に基づき新規性を採録の要件としない出版物へ収録する場合に限り学会に申し出ることなく利用できます。他学会の国際会議の投稿ルールが新規性を採録の要件としていなければこの要件を満たします。この場合も、学会誌を出典として明示することが必要です。

Q.大学教育学会の媒体に掲載された自分の論文を学内のイントラネット上で公開したいのですが、可能でしょうか?

著作権規程第5条の5により可能です。本会への申し出は必要ありませんが、必ず出典を明記してください。ただし掲載については、大学教育学会誌掲載論文は1年間経過した後という制約を守ってください。

記載例)論文タイトルページ等に「本論文は著作権者である大学教育学会の許可のもとに掲載しています。ご利用の際は著作権法に従ってください。」などと記載する。

Q.大学教育学会誌の媒体に掲載された自分の論文をインターネット上で公開したいのですが、可能でしょうか?

著作権規程第5条の5により可能です。ただし掲載については、大学教育学会誌掲載論文は1年間経過した後という制約を守ってください。また、個人個人が編集しサイト内情報を管理できるサイトを含む)または所属のサイトに限ります。本会への申し出は必要ありませんが、出典を明記してください。

記載例)論文タイトルページ等に「本論文は著作権者である大学教育学会の許可のもとに掲載しています。ご利用の際は著作権法に従ってください。」などと記載する。

Q.大学教育学会のWebサイトから自分の論文をダウンロードして複製してもかまわないでしょうか?

著作権規程第5条の1により、可能です。第5条の5により、ウェブサイトへの掲載などの公衆送信を行うことも可能です。

Q.自分の論文のデータを一部更新、もしくは自分の論文の内容に一部軽微な間違いがあることが分かったので、修正して学内ネットやインターネットに載せてもよいでしょうか?

著作権規程第5条の5により可能です。ただし、内容の一部更新・修正については、掲載誌との差異を明記してください。なお、掲載論文との差異が25%以上ある場合は、取り扱いは著作者の自由です。

Q.学会誌に掲載した著作物を単行本として出版したいのですが、手続きはどのようにすれば良いですか?

掲載記事との差異が25%以上あれば学会に何ら申し出ることなく出版が可能です。25%以下の場合は、事前に学会に申し出てください[著作物利用通知書様式A]。また、学会と出版社が内容の利用許諾に関して契約するので出版社の連絡先を教えてください。

Q.自分の論文の一部を学位論文に転載したいのですが、どのような手続きが必要ですか?

謝辞または参考文献に出典を明記すれば、本会への申し出は必要ありません。ただし、共著者がいる場合には、後のトラブルを避けるため必ず事前に許可を得ておいてください。

<他人の論文を利用する場合>

Q.大学の授業で大学教育学会の出版物を教材として使用したいのですが、複写して配付してもかまわないでしょうか?

教育目的の使用は、著作権法の範囲で認められていますので、本会に許諾なく複写・配布できます。

Q.お世話になった教授の還暦を記念して論文集を作成したいのですが、大学教育学会の出版物より教授の論文をいくつか複写して配付してもかまわないでしょうか?

教授の同意を得ていれば著作者が利用するものと解釈できるので著作権規程第5条の1により可能です。

Q.大会や課題研究集会、大学教育入門講座等でのプレゼンテーションのスライドの著作権や録画は学会のものでしょうか? 著作者のものでしょうか?

プレゼンテーションに使用したスライド等の著作権は著作者にあります。